マニラの微風

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help リーダーに追加 RSS 第51話:脱船

<<   作成日時 : 2006/05/29 18:57   >>

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フィリピンの話から脱線するわけではありませんが、さらに脱船の話をしましょう。

小生、10年ほど前、長さ200mの外国航路の自動車運搬船に船長として、日本人の機関長と21名のフィリピン人船員と一緒に乗船していました。
その時米国西岸ベニシアという、サンフランシスコ湾から数時間川を遡った港に寄港したのですが、その港であるフィリピン人船員の叔父さんが尋ねてきたことがあります。

甥である船員に聞くと5年間あってない叔父で、自分が商船学校に入学できたのもこの叔父さんのお陰だという。
 丁度、夕食時でもあり、乗船させて一緒に食事をさせてやったところ、律儀にこの船員とともに船長室に挨拶に来た。そしてしばらく雑談している時に、あろうことかこの叔父さん、小生の目の前で、甥に対して”JUMP SHIP(脱船=働いている船から無断で去ること)” を勧めるではありませんか。

叔父さん:「Captain(小生の事です)、私も、もと船員でJump ship し、違法でも5年以上滞在するとなんのペナルティもなくフィリピンに戻れます。」
     「5年以上違法滞在の後フィリピンに戻り、その後、又アメリカに来て今は市民権もとって、結構な生活をしています。だから甥にもそのように成功させてあげたいのです。ですからキャプテンからもこいつに勧めて下さい。」
小生  :『怒、怒、怒』
船員  :「おじさん、jump ship は違法行為ですから、僕はJump ship はしません。」
小生  :『よし、よし』

 フィリピン人にも彼のようにまともな考えをしている者がいてほっとしました。
もっとも、この船員は商船学校を出て3年目で三等航海士の免許ももっており、自分はゆくゆく船長になるとの希望を持っていたので、Jump ship するとその道が絶たれるので、船に残ることを選択しただけで、下級船員で昇進の道がない者であれば、家族の為に収入のいいほうを選ぶことは十分考えられます。

 この叔父さんによると、米国に住むフィリピン人で船からの脱走を手引きすることをビジネスにしている奴もおり、なかにはまともな者(違法行為をするのにまともでもありませんが)もいるが、金だけ取って、上陸したあとは、置き去りというケースも多く、その点でも自分は誠実で、私に任せてくれたらいいのにと、まだ言っています。

直接の責任者の前でこのような事をいう人のメンタリティは、一体どどうなっているのでしょう。?

これも、フィリピン人の自己中心のなせるわざです。

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